「メジナをもっと美味しく食べたい」
そう思って調べると、必ず出てくるのが神経締めという言葉です。
しかし実際にやろうとすると、
と、初心者がつまずくポイントだらけ。
この記事では、
釣り人目線で無理なく実践できる神経締めと、
なぜプロは額(オデコ)から入れるのかを、理由付きで解説します。

自分の経験上
釣ったその日に食べる予定なら神経締めは、おすすめしません。
基本的な脳天締め・血抜きで持ち帰るもが当日に食べるならおすすめです。
前回の記事で紹介した締め方や持ち帰り手順がかなり重要なので、
前回の記事も参考にしてください。
メジナの神経締めする理由とは?





確かに「脳天締め(脳死)」と「血抜き」だけでも十分美味しいですし、それだけで済ませるプロやベテランも多いのも事実です。
しかし、そこに**「神経締め」を加えることで得られるメリットには、科学的・実用的に明確な差があります。両者を比較すると、その違いは主に「鮮度の持続時間」と「身の質感」**に現れます。
| 項目 | 脳天締め + 血抜き | + 神経締め(究極の処理) |
| 主な目的 | 即死(ストレス緩和)と 臭みの除去 | 脊髄の反射停止(死後硬直の遅延) |
| 死後硬直 | 数時間で始まる | 半日〜1日以上遅らせることが可能 |
| ATP(旨味の元) | 脳死により温存されるが、微量消費される | 筋肉の電気信号を断つため、最大限温存される |
| 身の透明感 | 良い(血が抜けているため) | さらに高い(筋肉の収縮が完全に止まるため) |
| 保存・熟成 | 1〜2日程度がピーク | 3〜5日以上の長期熟成が可能になる |
| 難易度・手間 | 比較的かんたん(短時間で終わる) | 道具(ワイヤー)が必要で、少しコツがいる |
なぜ「脳」だけでなく「神経(脊髄)」までやるのか?


脳を壊しても、脊髄(背骨の中の神経)が生きていれば、筋肉は勝手に反応し続けてしまうからです。神経締めまで行うメリットは以下の3点に集約されます。
1. 「脊髄反射」によるエネルギー消費を止める
魚は脳が死んでも、脊髄が生きていれば筋肉が微細にピクピクと動き(反射)、エネルギー(ATP)を消費し続けます。神経締めはこの「無意識の筋肉の動き」を物理的に断つ作業です。
- 結果: 旨味成分の元となるATPが全く減らない状態でキープされます。
2. 「死後硬直のタイマー」を止める
魚の身が「プリプリしている(=死後硬直前)」時間は、神経締めをすることで劇的に伸びます。
- 脳締めのみ: 脳が死んでも神経が「まだ生きてる!」と筋肉に信号を送り、数時間で身が硬くなり始めます。
- 神経締めあり: 筋肉に「動け」という命令が一切届かなくなるため、体が死んだことに気づかないような状態になり、硬直を大幅に先延ばしできます。
3. 「冷やし込み」による身の縮みを防ぐ
釣った魚を氷水(潮氷)で冷やす際、神経が残っていると、寒さの刺激で筋肉がギュッと収縮してしまう「コールドショック」が起きることがあります。これが身割れや食感の低下に繋がります。
- 神経締めをしておけば、急激に冷やしても筋肉が反応しないため、美しい身質を保ったまま芯まで冷やすことができます。
結局、いつ神経締めをするべき?
正直なところ、「釣ったその日や翌日に食べる」のであれば、脳締めと血抜きだけでも十分すぎるほど美味しいです。メジナなら特に、血抜きさえしっかりしていれば磯臭さは大幅に抑えられます。
神経締めまでやった方がいいケース:
💡 結論 「すぐに食べるなら脳締め+血抜きでOK」「数日寝かせるなら神経締めまで必須」と使い分けるのが、最も効率的で賢い方法と言えます。
「脳天締め・血抜きのみ」と「さらに神経締めをして3日間熟成させたもの」では、身の色味、透明感、そして「断面の質感」にプロが見れば一目でわかるほどの差が出ます。
具体的な違いを比較表とポイントで解説します。
神経締めの効果
「脳天締め・血抜きのみ」と「さらに神経締めをして3日間熟成させたもの」では、身の色味、透明感、そして「断面の質感」にプロが見れば一目でわかるほどの差が出ます。
具体的な違いを比較表とポイントで解説します。
| 項目 | 脳天締め + 血抜き(3日目) | + 神経締め + 熟成(3日目) |
| 透明感 | 少し濁り(白濁)が出てくる | 「飴色」や「乳白色」の深い光沢 |
| 色味 | 全体的にやや黄色っぽくくすむ | 透明感を残しつつ、内側から輝くような白 |
| 血の跡 | 中骨付近に微細な血の滲みが残る | 中骨付近まで真っ白(またはピンク)で綺麗 |
| 表面の質感 | 水分(ドリップ)で少しベタつく | しっとりとして、脂が浮き出たような艶(テリ) |
| 身の締まり | 少し緩んで(柔らかくなって)見える | 細胞が壊れず、角が立ったまま落ち着いている |


見た目が変わる3つの大きな理由
1. 「身焼け」と「血の混じり」の差
神経締めをしていない魚は、脳が死んでも脊髄が「まだ生きている」と判断し、筋肉が微細に動き続けます。この時の「微弱な電流」や「ストレス」によって毛細血管が収縮しきれず、わずかな血が身に残ってしまいます。
- 見た目の差: 神経締めをした柵は、特に背骨に近い部分に「点々とした血の跡」がなく、非常にクリーンな見た目になります。
2. 透明感から「飴色」への変化
釣りたてはどちらも透明ですが、3日経つと差が顕著です。
- 血抜きのみ: 細胞の分解がバラバラに進むため、身が少し「濁った白」になり、鮮度が落ちたように見えがちです。
- 神経締めあり: 筋肉のエネルギー(ATP)を温存したまま熟成に入るため、身が**「飴色(あめいろ)」**と呼ばれる、透明感のある美しい乳白色に変化します。これが「熟成メジナ」の完成された見た目です。
3. 表面に浮き出る「脂の艶(テリ)」
神経締めをして正しく熟成させると、身の中のタンパク質が分解されてアミノ酸に変わる過程で、魚の脂が身全体に回ります。
- 柵にした時に、表面がただ濡れているのではなく、**「しっとりと脂の膜が張ったような独特のテリ」**が出るのが、成功した熟成メジナの特徴です。
釣り人の特権:断面の「角(かど)」
熟成させると身は柔らかくなりますが、神経締めをした魚は細胞一つ一つがしっかりしているため、包丁を入れた時に**「角がピシッと立つ」**のが特徴です。 見た目だけで「あ、これは甘くて旨いメジナだ」と確信できるほどのオーラを放ちます。
💡 補足 もし柵にした時に、身が「ピンク色」ではなく「どす黒い」部分があったり、ペーパーに血がべったり付いていたりする場合は、神経締めか血抜きのどちらかが不十分だった可能性があります。





なぜ神経締めをするか理解したところで、
神経締めやり方の本題に入ります。
神経締めとは?|ワイヤーを通す=成功ではない
まず大切な前提から。
神経締めは「ワイヤーを通す作業」ではありません。
神経締めの本質
脊髄の中をワイヤーで前後に動かし、神経を壊すことで、
魚の死後硬直を遅らせ、身質の劣化を防ぎます。
正しく入ると起こる反応|成功のサイン
ワイヤーが正確に脊髄管に入ると、
この反射が起きたら、
👉 神経に当たっている証拠です。
その状態で、
これが正しい神経締めです。
※太すぎるワイヤーを無理矢理入れると脊髄管が破損し逆効果になるので注意!
尾ビレ側から入れる方法|釣り人ならこれでOK
尾からの神経締めが向いている理由


手順はシンプルです。
- 尾ビレ付け根の背骨上に切れ込みを入れる
- 背骨を少し露出させる
- そこからワイヤーを頭方向へ挿入
プロがやらない理由
実はこの方法、商品価値が下がるためプロは使いません。
しかし――
釣り人は自分で食べる前提。
👉 無理にプロと同じことをする必要はありません。
まずはこの方法で、
**「脊髄を通る感覚」**を覚えるのが正解です。
なぜプロはオデコ(額)から神経締めをするのか?
理由は3つあります。
- 商品価値を落とさない
- 身を一切無駄にしない
- 見た目が綺麗
ただし難易度は高めです。
オデコから神経締めする正しい手順


必ずこの順番で行います
- 脳天締めをする
- ニードル(ピック)で穴を開ける
- その穴からワイヤーを挿入


脳天締めと穴あけには、
- ダイワ 魚締め 活〆スティック
- 専用ニードル(ピック)
があると、
狙った位置に正確に入れやすくなります。
神経締め用ワイヤーの種類と選び方
ステンレス製ワイヤー
メリット
デメリット
👉 入門用・練習向け





セット品から始めるのがコスパがよくおすすめ
※しかし、セットのワイヤーはステンレス製です。
形状記憶合金ワイヤー(おすすめ)
メリット
価格は少し高めですが、
最初から失敗したくない人には最適です。
ワイヤー径の目安【魚サイズ別】
- アジなど(〜30cm)
0.8mm〜1.0mm - メジナ(40〜60cm)
👉 1.0mm〜1.2mm(最適)
メジナには
1.0mmの形状記憶合金ワイヤーが最も扱いやすいです。
メジナを三日以上寝かせて旨み出すなら!
メジナ(グレ)を3日間以上寝かせて熟成させる場合、**「水分コントロール」と「徹底した雑菌対策」**が全てです。メジナは磯魚なので、内臓の臭みが身に移らないよう、下処理が特に重要になります。
プロやベテランも実践している、失敗しないための具体的な手順を5つのステップで解説します。
ステップ1:釣り場での「完璧な下処理」
3日以上の熟成を狙うなら、釣り場での処理がスタートラインです。
- 脳締め・血抜き・神経締め: 前述の通り、身を最高の状態でキープします。
- 内臓・エラの除去: メジナは海藻を食べるため、死後すぐに内臓から臭いが出ます。現場で内臓とエラを完全に取り除き、お腹の中を海水できれいに洗ってください。
- 水気を切って保冷: 魚が直接氷や水に触れないよう、袋に入れてからクーラーボックスへ。
ステップ2:帰宅後の「徹底洗浄と除菌」
帰宅したら、雑菌が繁殖しやすい箇所を徹底的に掃除します。
- ウロコ取り: ウロコ取りをせずに体表をきれいに洗う。
- 血合いの掃除: 中骨のところにある赤い「血合い」を、歯ブラシなどを使って流水で完璧に洗い流します。ここが残っていると3日目には生臭くなります。
- お腹の黒い膜: メジナのお腹にある黒い膜も臭いの元になるため、可能な限り取り除きます。
- 水気のふき取り: 真水で洗った後は、清潔なタオルやキッチンペーパーで、表面もお腹の中も一滴の水分も残さない勢いで拭き上げます。
ステップ3:熟成のための「ラッピング」


空気に触れさせず、身から出る水分(ドリップ)を吸収させるのがコツです。
- ペーパーで包む: お腹の中に丸めたペーパーを詰め、さらに魚全体を厚手のキッチンペーパー(「リード」などがおすすめ)で包みます。
- ラップで密閉: その上からラップを空気が入らないように何重にもきつく巻きます。空気に触れると酸化して味が落ちます。
- ジップロック: さらにジップロックに入れ、ストローなどで中の空気を抜いて「弱真空」状態にします。


私が使ってる裏ワザを紹介します。
真空って意外と大変ですよね。
真空パックで保存する方法が簡単で確実です。
メジナ以外でも特売の肉や食べきれない野菜などにも使えて便利アイテム♪
作りおきのお惣菜も美味しさ長持ち!傷みやすいカット済み野菜も、真空保存なら1週間経っても大丈夫で、今回のメジナの熟成に最適です♪
ステップ4:冷蔵庫での保存(温度管理)
- チルド室か野菜室がベスト: 冷蔵室(通常5℃前後)よりも温度が低い**「チルド室(0〜2℃)」**野菜室(3〜7℃)に入れてください。温度変化が少ない場所が理想です。
- 置き方: 魚が重ならないようにし、もし可能であれば「背中を下」にして置くと身が潰れにくくなります。
補足
チルド室か野菜室ってどっちだよ!そんな声がありそうなので補足しておきます。
チルド室と野菜室、どちらが良いかは「何日寝かせたいか」と「お使いの冷蔵庫の性能」によって変わります。それぞれの理由を比較表で解説します。
| 項目 | チルド室(0〜2℃) | 野菜室(3〜7℃) |
| 向いている目的 | 長期保存(5日〜1週間以上) | 短中期の熟成(2〜4日) |
| メリット | 雑菌の繁殖を強力に抑え、安全性が高い。 | 熟成が早く進み、旨味が出やすい。 |
| デメリット | 熟成に時間がかかる。凍結のリスクがある。 | 雑菌が繁殖しやすいため、下処理が甘いと腐敗する。 |
| おすすめの人 | 究極の鮮度と安全を優先したい方 | 3日前後で一番美味しい状態に仕上げたい方 |


ちなみに我が家は野菜室で3日寝かしを標準にしてます。
ステップ5:毎日の「メンテナンス」(重要!)
3日以上寝かせるなら、放置は厳禁です。
3日目のメジナはどう変わる?
⚠️ 注意点 慣れないうちは、まずは「丸ごと(姿のまま)」で熟成させるのがおすすめです。3枚に下ろしてからだと身が空気に触れる面が増え、傷みやすくなります。
まとめ|釣り人は「無理しない神経締め」でいい
まずは、
脳天締め+血抜き+丁寧な持ち帰り。
そこから一歩進みたい人だけが、
神経締めに挑戦すればOKです。


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