アカエイが釣れたとき、困るのが釣り上げた後の取り扱いですよね。
毒棘が危険なのは知っていても、「釣り針はどうやって外す?」「持ち帰って食べるなら、毒棘はどう処理する?」「血抜きはどこを切ればいい?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
アカエイは、適切に下処理すれば美味しく食べられる魚です。
エイヒレや煮付け・唐揚げなど、釣り人ならではの楽しみ方もあります。
この記事では、釣れたアカエイを持ち帰る場合の取り扱い方を中心に、毒棘の処理、釣り針の外し方、血抜き、冷却までを解説します。
実際に作業する際の注意点も紹介しますので、釣り場でアカエイが掛かったときの参考にしてください。

アカエイってどんな魚なのか、まずは特徴を見てみよう!
アカエイとはどんな魚?


アカエイは、日本各地の沿岸で見られるエイの仲間です。
釣りをしていると、投げ釣りやルアー釣りなどで掛かることがあり、思いがけず出会う魚でもあります。
平たい体と長い尾が特徴で、海底付近で生活しています。食用にもなる魚ですが、尾には毒を持つ鋭い棘(とげ)があるため、釣れたときには注意が必要です。
見た目がおとなしくても、素手でつかんだり、尾の近くに手を伸ばしたりするのは危険です。
まずは、アカエイの特徴と生息場所を知り、釣り場で出会ったときに慌てないようにしておきましょう。
アカエイの特徴と生息場所
アカエイは、サメと同じ軟骨魚類の仲間です。
体は平たく、左右に広がったひし形に近い形をしています。
背中側は赤褐色から暗い褐色、腹側は明るい色をしており、尾は細長くムチのように伸びています。
日本では北海道から九州南岸までの沿岸域に広く分布し、砂地や泥底の海底でよく見られます。
内湾や干潟、河口付近などにも入り込むため、沖の釣り場だけでなく、身近な海辺でも遭遇する可能性があります。
海底では砂や泥に体を潜らせ、目や呼吸に使う穴を外に出してじっとしていることがあります。
そのため、浅瀬を歩いているときなどに、気づかず近づいてしまうこともあります。
アカエイは貝類や甲殻類など、海底にいる生き物を食べます。
餌を探して海底付近を泳ぐため、投げ釣りや底を狙う釣りで掛かることもあります。
掛かったときには強い引きを見せることがあり、大きな個体では取り込みに苦労する場合もあります。
なお、アカエイには尾に毒棘があることが大きな特徴です。





毒もさることながら棘の縁にはノコギリの歯のようなギザギザがあり、刺さると深い傷につながる危険があります。
アカエイの毒針はなぜ危険なのか⁈見ていきましょう。
アカエイの毒棘はなぜ危険なのか
アカエイの尾には、鋭い毒棘(どくきょく)があります。
毒棘とは、毒を持つ棘のことです。




まずは、イラストで位置を確認してみましょう


アカエイに刺されると、毒による強い痛みなどが起こるだけでなく、棘そのものが皮膚や筋肉を傷つける危険もあります。
特に注意したいのは、アカエイの毒棘が、一般的にイメージされる「注射器のような針」とは異なる構造をしていることです。


では、どのような仕組みで毒が作用するのでしょうか。
毒棘の構造を知ると、アカエイを不用意に触ってはいけない理由が見えてきます。
注射器のような毒棘とは構造が違う
魚の毒棘と聞くと、注射器のように針の内部に毒をため、刺したときに毒を送り込む仕組みを想像する人も多いのではないでしょうか。


オニダルマオコゼの毒棘を思い浮かべる人も多いんじゃないかな?
しかし、アカエイは、オニダルマオコゼなどと同じ構造をしているわけではありません。





オニダルマオコゼなどの毒棘を簡単におさらいして見てみましょう
オニダルマオコゼなどの毒棘には、棘の両側に毒を分泌する組織があり、棘の溝が毒を傷口へ届ける役割を果たします。
※ただし、これも注射器のような中空の針とは異なります。


一方、アカエイの毒棘も、内部が空洞になった注射針のような構造ではありません。
棘の両側にある溝には毒を含む組織があり、その外側を薄い被覆組織が覆っています。


棘が刺さると、この被覆組織が傷つき、毒を含む組織などが傷口に入り込むことで、毒が作用すると考えられています。
大切なのは、アカエイの場合、毒を含む組織と、それを覆う被覆組織が毒の作用に関係していることです。
なお、毒棘の構造や毒の分泌の仕組みは魚種によって異なります。
ほかの魚の毒棘と比較するときも、見た目だけで同じ仕組みだと判断しないようにしましょう。
アカエイの尾はムチのように危険
アカエイを扱うときに、特に注意したいのが長く伸びた尾です。
アカエイの尾には、鋭い毒棘があります。
毒棘は細長く、縁にはノコギリの歯のようなギザギザが並んでいます。
尾を振り回すことで起こる事故。
この棘が人の手足などに刺さると、毒による症状だけでなく、皮膚や筋肉を傷つける深い傷につながることがあります。
怖いのは、アカエイが人を狙って攻撃してくるというよりも、身を守ろうとして尾を振った際に、近くにいる人がケガをする可能性があることです。
釣り上げたアカエイが動かなくなったように見えても、安全だと判断するのは禁物です。
尾や毒棘には不用意に近づかず、魚体を押さえ込もうとしないことが大切です。
尾を振り回すことで起こる事故
アカエイの尾は、体の後方に細長く伸びています。
危険を感じたときなどに尾を勢いよく振ることがあり、その動きによって毒棘が手足や胴体に刺さる事故が起こります。
釣り場では、魚を取り込もうと身をかがめたときや、針を外そうと尾の近くに手を伸ばしたときに注意が必要です。
アカエイの尾は予想外の方向に動くことがあるため、「尾から離れていれば大丈夫」と考えず、魚体全体に不用意に近づかないようにしましょう。
毒棘による傷は、単なる小さな刺し傷で済むとは限りません。
棘のギザギザによって傷口が広がったり、深い部分まで傷ついたりする場合があります。胸や腹などに刺さると、内臓や血管を損傷する危険もあります。
アカエイの毒棘は、針の両側にノコギリの歯のようなギザギザがあります。
一見すると、釣り針の返し(カエシ)のように、刺さった後に抜けにくくするための構造に見えます。
しかし、実際に刺された経験から感じたのは、刺突時の抵抗が小さく、棘がより深く入り込むような感覚があることです。
さらに、後ろ向きのギザギザが皮膚や筋肉に引っ掛かるため、抜こうとしたときにも組織を傷つける危険があります。


アカエイに刺されたらどうする?症状と応急処置


アカエイの毒棘に刺されると、激しい痛みや腫れが起こることがあります。
症状によっては、めまいやアナフィラキシーなどの全身症状につながる恐れもあります。
その為刺された場合は、速やかに医療機関を受診してください。
温水に患部を浸す処置は、受診までの痛みを和らげるための応急処置です。
棘にはノコギリ状の返しがついているため、刺さった場合に無理に引き抜こうとすると肉を大きく切り裂く恐れがあります。
順を追って適切に対処してください。
1.安全な場所へ移動し、助けを呼ぶ:アナフィラキシーショックによる意識障害に備える。
水中にいる場合はすぐに陸上や船上に上がり、血圧低下やめまいによる溺水・転倒を防ぎます。一人で対処せず、周囲の人や海上保安庁(118番)・救急(119番)へすぐに助けを求めてください。
2.傷口を洗浄・観察する:無理な抜去は避ける。
清潔な海水で傷口を洗い流します。
3.温熱療法を行う(43〜45℃のお湯に浸す)
アカエイに刺された場合、やけどをしない程度の温水に患部を浸すことで、痛みが和らぐことがあります。
※患部の感覚が鈍くなっている場合にやけどを起こさないよう注意が必要で温度計などを使うと安心です。
ただし、これは医療機関の受診に代わるものではありません。
深い傷や強い痛み、全身症状がある場合は、温熱処置を優先して受診を遅らせないでください。
注意:反対に、冷水や氷水で患部を冷やすと痛みが強くなるため、冷やすのは避けましょう。
温熱処置は、あくまでも応急処置「病院までの痛みの軽減」です。必ず医療機関に受診してください。
痛みが引いたとしても、アカエイに刺された場合は医療機関を受診してください。
毒棘の破片や被覆組織が体内に残っている可能性があるほか、傷口から細菌が入り、感染を起こすこともあります。
医療機関では、傷の深さや状態を確認し、必要に応じて画像検査や異物の除去、感染予防の処置などを行います。





破傷風の予防接種が必要かどうかも、過去の接種歴や傷の状態を踏まえて医師に判断してもらいましょう。
釣り上げたアカエイに近づくときの注意点


アカエイが釣れたとき、最初に考えたいのは「どうやって針を外すか」ではなく、「安全に対応できる状況かどうか」です。
アカエイの体は平たく、尾が体の下や横に回り込んでいることもあります。
毒棘の位置が見えていても、尾が動けば危険な範囲は変わります。
尾の動きを予測して手を伸ばすのは避けましょう。
特に、次のような行動は危険です。
小型のアカエイでも毒棘によるケガの危険があります。
大きな個体や、尾が激しく動いている個体は、さらに慎重な対応が必要です。





アカエイの口元に不用意に指を近づけると、噛まれてケガをするおそれがあります。
針を外すときは、口元に直接手を近づけず、ロングプライヤーなどを使用してください。
安全に針を外せないと判断した場合は、無理をしないでください。
リリースする場合も、毒棘に触れずに対応できることが前提です。
安全な方法が確保できないなら、無理に作業を続けないことが大切です。





持ち帰るために毒棘を処理する場合は、釣り針を外す前に、まず毒棘への接触を避ける方法を考えましょう。
魚体と尾を安全に制御できる経験者であれば、尾の付け根から切断する方法もあります。
アカエイの尾を付け根付近から切り離す方法


毒棘を処理する前に確認したいこと
アカエイの毒棘を処理する方法の一つとして、尾の付け根から切断する方法があります。
ただし、この作業は魚体と尾の動きを十分に制御できることが前提です。
アカエイは体が大きくても小さくても、尾を急に振ることがあります。
作業に慣れていない方や、魚体を安定して固定できない状況では、無理に切断しないでください。
素手で尾をつかんだり、毒棘の近くに手を伸ばしたりするのは避けましょう。
魚体や尾を安全に制御できない場合は、この作業を行わないでください。
毒棘を処理することよりも、作業者や周囲の人がケガをしないことを優先しましょう。
1. 事前準備と必要な道具
2. 毒棘切断の具体的な手順
①作業場所と周囲を確認する
周囲の人を離し、魚体や尾が動いても人に当たらない作業スペースを確保します。
② アカエイの体を安定させる




紹介する手順は、経験者向け作業なので初心者や作業に不安な方は、毒棘切断を無理にやらないでください。
アカエイは釣り上げられた直後、尾を振り回すことで起こる事故が起こる事があります。
まずはタモの枠や踏み板で、エイの体の中央をしっかりと地面や船上に押さえつけ、動きを制限します。
※タモの枠や踏み板などを使う場合も、魚体を押さえれば必ず安全になるわけではありません。
③尾の動きを制御する
直接手で尾に近づくのは絶対に避けてください。
長めのプライヤーなどを使い、毒棘のある尾の中間付近をしっかりと掴みます。
尾の動きを制御したうえで、尾の付け根付近を剪定ばさみや大型のニッパーなどで切断します。
ただし、尾を掴んでいても安全が保証されるわけではありません。
アカエイの体や尾が予想外に動く可能性があるため、十分な距離を保ち、作業に慣れた人が適切な工具を使って慎重に行う必要があります。
安全上の重要な注意点


尾を切るには、魚体と尾を確実に制御し、適切な工具を扱う必要があります。





尾を靴で踏みつける方法も、毒棘が靴底を貫通する危険を考えると、初心者向けの安全手順としては推奨できません
アカエイの毒棘を切断した後の「釣り針の安全な外し方」と、美味しく持ち帰るための「下処理(血抜き)」の手順を解説します。
口元に残った釣り針の外し方


毒棘を切断した後であっても、アカエイの口元に不用意に指を近づけると、噛まれてけがをするおそれがあります。
針を外す際は、直接手を口に入れず、ロングプライヤーなどを使用してください。
① 体を裏返しにする(または腹側を露出させる)
※以下は魚体を確実に制御できる経験者向けの扱い方です。初心者や大型個体では無理に裏返さないでください
② ロングプライヤーで針を掴んで外す
③ 針が奥まで飲み込まれている場合
持ち帰る場合の下処理(血抜き・臭み取り)


アカエイなどの軟骨魚類は、体内に尿素を多く含んでいます。
鮮度管理が不十分なまま時間が経過すると、アンモニア臭が出やすくなるため、釣った後の血抜きと冷却が大切です。
アカエイの血抜き方法
アカエイをおいしく持ち帰るためには、釣り上げた後の血抜きと冷却が大切です。
毒棘を処理した後、エラ穴の内側から包丁を入れ、エラ穴の内側から包丁を入れ、エラの付け根を切り離して放血します。
その後、海水中で20〜30分ほど血を抜く方法です。
血抜きの手順
- まず毒棘の処理を済ませ、魚体を安全に扱える状態にします。
- アカエイの腹側にあるエラの位置を確認します。
- 魚体を安全に制御できる状態で、エラ穴の内側から包丁を入れ、エラの付け根を切り離す処理をします。
- 海水中で20〜30分ほど放血します。
- 放血後は、体表の粘液や汚れを取り除き、速やかに冷却します。
この方法は水産試験場の資料でも紹介されている処理例です。
魚体の大きさや状態、釣り場の環境によって作業のしやすさは異なります。
魚体を安全に制御できない場合は、無理に作業を進めないでください。
参考:愛知県水産試験場の資料
血抜きだけで臭みを完全に防げるわけではありません。
処理後の洗浄と冷却まで丁寧に行うことが大切です。



冷却保存が大切です。
まとめ:アカエイを持ち帰ったら、美味しく食べてみよう!
安全に下処理をして持ち帰ったアカエイ。
せっかくなら、美味しく調理して味わいたいですよね。
アカエイは、エイヒレや煮付け・唐揚げなど、さまざまな料理で楽しめます。
別記事では、アカエイの剥き方から、エイヒレや肝を使った料理まで、釣ったアカエイを美味しく食べるためのレシピを紹介しています。
▶ [釣果めし|アカエイのレシピと下処理はこちら]







私の場合、釣り場で血抜きなどの下処理を行い、しっかり冷却して持ち帰ったアカエイは、冷蔵保存で2〜3日後も気になるアンモニア臭はありませんでした。
ただし、臭いの出方は魚の鮮度や処理方法、保存温度によって変わります。



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